ビデオグラファーに映像制作を依頼するという選択肢
ビデオグラファーに映像制作を依頼するという選択肢
広告代理店? 制作会社? それとも、個人のクリエイター?
映像を活用したいけれど、「どこに依頼すべきか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
かつて私自身も、広報という立場でさまざまな社外クリエイターと仕事をしてきました。それぞれに個性や強み・弱点があり、目的や予算、求める表現によって「どこにお願いするか」は大きなポイントとなります。広報として「伝える」責任を担っていたからこそ、制作者の選定に悩む気持ちはよく分かります。
この記事では、広報・販促の現場を経験してきた視点から、映像制作における主要な3つの依頼先(広告代理店/制作会社/ビデオグラファー)の特徴や違いを整理しつつ、「ビデオグラファーに依頼する選択肢」について掘り下げてご紹介します。
映像制作の依頼先として代表的なものに、「広告代理店」「制作会社」「ビデオグラファー(個人のクリエイター)」の3つを挙げさせていただきます。それぞれの特徴、メリット・デメリット、費用感(※)を以下にまとめました。
※費用感については、あくまで私個人の経験と周辺相場に基づく参考値です。プロジェクトの規模、映像の種類(インタビュー、ドキュメント、CM等)、納品形態、撮影日数、編集工数などにより大きく変動します。
映像コンテンツの制作だけでなく、広告戦略を含めて提案してくれるのが広告代理店の強みです。広告出稿を前提としたプロジェクトや、マーケティングに関するノウハウが社内に少ない状況などでは、特に頼りになる存在です。
メリット
映像だけでなく広告・SNS運用など、制作〜マーケティングまで一気通貫で任せられる
プロジェクトの目標設定や効果測定を数値で管理してくれる
デメリット
映像制作は外注であることが多く、予算は割高になりがち
費用感
媒体費を含めた提案設計が前提
100万円〜
企画・撮影・編集の各工程にプロフェッショナルが存在し、分業体制で対応。安定感のある進行と品質管理が期待できます。演出性の高い映像や複雑な構成、多本数制作など、大規模案件に向いています。
メリット
幅広いジャンルに対応できる体制
CGやアニメーションなど、複雑な要素にも柔軟に対応
デメリット
分業体制ゆえに、依頼主の意図やニュアンスが伝わりにくいことがある
細かな要望や修正に時間がかかる場合もある
コンテンツ制作に特化しており、マーケティング視点での提案が得られない場合も
費用感
分業によるプロフェッショナルな対応
50万円〜
企画から撮影・編集までを個人〜少人数チームで行うスタイル。フットワークの軽さと柔軟な対応力が特長で、限られた予算内でスピーディに映像を制作したい場合に向いています。
メリット
クリエイターと直接やりとりできるため意思疎通がスムーズ
柔軟な対応が可能で、撮影現場での小回りが利く
少人数のため、予算への対応力が高い
デメリット
リソースに限りがあるため、大規模案件や複雑な工程には不向きな場合も
クオリティや制作可能ジャンルは個人のスキルに依存
規模感のある組織と比較すると、発注に社内承認を得にくいケースもある
費用感
個人で完結する分、低価格対応が可能
20万円〜
個人的には、家を建てる際に「ハウスメーカー(広告代理店)」に頼むか、「工務店(制作会社)」に頼むか、「個人の建築家(ビデオグラファー)」に頼むか、に近いイメージです。では、上記をふまえて、ビデオグラファーというスタイルについてもう少し深掘りしてみましょう。
「ビデオグラファー」とは、映像の企画・撮影・編集までを一貫して担う、マルチスキルな映像クリエイターのことです。従来の映像制作は、企画・撮影・照明・音声・編集などが各担当に分かれた分業制が主流でしたが、比較的小規模な映像制作の現場では、ビデオグラファーというスタイルが広がりをみせています。
このスタイルが広がった背景には、以下のような社会的・技術的な変化があります。
1. 機材の進化と制作環境の変化
かつては専門機材や高額な編集環境が必要でしたが、現在では比較的コンパクトな機材とノートPCで高品質な映像制作を行うことが可能となりました。結果として、個人でプロフェッショナルな映像を提供できるクリエイターが台頭しています。
2. Web動画の普及と多様化するニーズ
スマートフォンやSNSの普及により、「映像で伝える」ことのハードルが下がり、動画のニーズが急増・多様化しました。そうした時代の要請に応えるかたちで、「機動力」や「柔軟性」を備えたビデオグラファーが注目されているのです。
ビデオグラファーのスキルや信頼性は、良くも悪くも属人性が強いです。大切なプロジェクトを依頼する上で次の点を確認しておきましょう。
実績(ポートフォリオ)を確認する
その人の作風や得意ジャンル、映像のクオリティ感を把握するために、公開されている過去の作品を視聴することは非常に大切です。
人柄を確認する
作品が優れていても、信頼関係が築きにくいと、円滑な進行に影響することもあります。SNSやホームページの文章などから、信頼に足る人柄であるかもしっかりと確認しましょう。可能であれば、オンライン面談などで直接話してみると安心です。
「限られた予算でも、自社や商品の魅力をしっかり伝えたい」
そういったニーズを持つ地方企業・中小事業者の方々にこそ、ビデオグラファーはフィットすると私は考えています。都市部の広告代理店や制作会社に依頼すると、コストや時間がかかりがちですが、地元のビデオグラファーであれば、地域性や業界の温度感を理解した上で、柔軟な対応が可能です。
私自身も、岐阜という地域で活動しながら、地元企業様と丁寧なコミュニケーションを通じて、「思いを伝える映像」を形にしてきたと自負しています。
ビデオグラファーという選択肢は、決して妥協案ではありません。映像という強力な表現手段を、もっと身近で柔軟に活用するための活用するための選択肢の一つです。
「うちの会社でも、何か映像を使って伝えられないだろうか?」
そう思われたときには、ぜひビデオグラファーという存在を思い出していただけたら嬉しいです。
お悩みやご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。