カメラ初心者の方でもすぐに実践できる「インタビュー撮影の基本」
カメラ初心者の方でもすぐに実践できる「インタビュー撮影の基本」
こんにちは。岐阜で映像クリエイターとして動画制作を行なっている井村 旭宏と申します。
近年はスマートフォンやコンパクトなデジカメでも、高画質な映像を気軽に撮影できるようになってきました。
私は基本的には映像制作の企画や撮影から手掛けていますが、企業の広報やPRの方が撮影した素材の編集だけを頼まれるパターンも一定程度あります。最近、クライアントが撮影した「インタビュー素材」を編集する機会が複数あったのですが、撮影について共通する改善点がいくつかありました。
そこで今回は、カメラ初心者の方でもすぐに実践できる「インタビュー動画の撮影の基本」として、インタビュー撮影の抑えるべきポイントをまとめてみました。ちょっとした工夫で、ぐっと見やすく、聞きやすい動画に仕上がると思いますので、ぜひ参考にしてみてください!
インタビュー撮影では、カメラのオート設定を使用すると、意図しないピントの移動や色・明るさの変化が発生し、安定した映像を撮るのが難しくなります。 そのため、以下の設定をマニュアルで固定することが大切です。
フォーカス
シャッタースピード
ISO(感度)
ホワイトバランス
被写体があまり動かないインタビューでは、マニュアルフォーカスがおすすめです。オートフォーカスを使うと、被写体のちょっとした動きに反応してピントが前後する「フォーカスハンティング」を引き起こすことがあります。マニュアルでピントを合わせるのに自信がない方は、「オートでピントを合わせる → マニュアルに切り替えてピントを固定」という手順でピント合わせをするのがおすすめです。
ただし、以下のような場合にはオートフォーカスも有効です。
• 被写体が頻繁に動く場合(立ったり、身振りが大きい人)
• 少人数での撮影やワンオペレーション(フォーカス調整に気を配る余裕がない場合)
• 高性能なオートフォーカスを使用(瞳AFや顔認識機能が優秀なモデル)
その場合は、オートフォーカスの感度や追従速度を低めに設定して、ちょっとした動きでピントが不自然に迷うことがないように調整しましょう。
日本では地域によって電源周波数が異なり、東日本(50Hz)では 1/50、西日本(60Hz)では 1/60 に設定しないと、画面がチラついてしまうことがあります。撮影後にこのチラつきを消すのは基本的に困難ですので、事前に適切なシャッタースピードを設定しておくことが必須です。
ISOをオートにすると環境光の変化に応じて明るさが変わり、露出が不安定になってしまうことがあります。撮影場所の明るさに合わせて、適正な明るさに手動で調整して、撮影中は設定を変えないようにしましょう。ただし、以下のような光の変化が激しい場合はオート設定も有効です。
• 屋外で雲の動きが速い場合
• 窓際で自然光の変化が読めない場合
その際にISOの最大値と最小値を設定できるカメラなら、「ISOオート+制限設定」でISOの数値を許容できる変動範囲内に設定することがおすすめです。
こちらもオートにすると、撮影中に光の影響で色味が変わってしまうことがあります。室内なら「蛍光灯」「電球」、屋外なら「太陽光」など環境に合わせて手動で設定し、撮影中は固定するようにしましょう。
なお、スマホ撮影の場合、標準のカメラアプリでは上記の設定を変更できないことも多いですが、「Blackmagic Camera」などのアプリを使えば、ISOやホワイトバランスを細かく調整できます。可能な限り、こうしたアプリを活用するのもおすすめです。
▶ Blackmagic Camera(公式)
手持ちで撮影すると、想像以上に映像がブレてしまいます。スマホやカメラの小さな画面で確認していると気付きづらいですが、後でPC画面で見ると細かい揺れが目立ってしまうことがよくあります。
ブレを防ぐために、極力三脚を使ってカメラを固定しましょう。特に長時間のインタビュー撮影では、手持ちでは安定した画を撮るのが難しく、視聴者にとっても見づらい映像になってしまいます。
また、三脚を使用する際にカメラの手ぶれ補正をOFFにすることを忘れがちです。手ぶれ補正は、動きのある撮影では効果を発揮しますが、三脚に載せた状態では不要な補正がかかり、逆に画面が不自然に揺れてしまうことがあります。カメラの設定を確認し、手ぶれ補正をOFFにしておきましょう。
インタビュー動画では、映像以上に音の聞き取りやすさが重要です。どんなに映像が綺麗でも、音がこもっていたり雑音が多かったりすると、視聴者は内容に集中できなくなります。また、音は映像以上に編集でのリカバリーが困難な場合も多いです。
カメラやスマホの内蔵マイクは、周囲の雑音を拾いやすいため、ピンマイク(ラベリアマイク)を使用するのがおすすめです。話者の襟元につけることで、声をクリアに録音できます。
音声トラブルを防ぐために、カメラやマイクの受信機にイヤホンを接続して、モニタリングするようにしましょう。また、外部レコーダーを使ってバックアップの音声を録音しておくと安心です。 万が一、メイン音声にノイズが入った場合でも、別の音声データを使って修正することができます。
能であれば、カメラを2台用意して撮影するのがおすすめです。
1台は引き(バストアップぐらい)、もう1台は寄り(顔のアップ) というようにカメラのアングルを分けておくと、編集時に視点を切り替えながら自然に不要部分をカットできます。
撮影時のポイントは、被写体の目線を統一すること。 たとえば、話者の左側に1台、右側に1台と配置すると、視線の向きがバラバラになり違和感が出るため、基本的には 両方のカメラを同じ方向に配置するようにしましょう。(これを「イマジナリーラインを超えない」と言います。)
インタビュー動画を見ていると、話している映像だけでは単調に感じることがあります。インサートカット(イメージ映像) を撮影しておくと、より視聴者に伝わりやすい映像となります。
たとえば、話している内容に関連する資料や作業風景を撮影しておけば、後から編集で差し込むことができ、より分かりやすく飽きのこない映像に仕上がります。
蛍光灯の光は「演色性」が低く、肌の色が青白くなったり、不健康に見えたりすることがあります。一方、自然光は撮影中に明るさや色味が変わる場合があるため、撮影の難易度が上がります。これらを防ぐためには、色温度を調整できる撮影用の定常光ライトを使うのがおすすめです。人工照明を使用することで、話者の顔を明るく、自然に見せることができ、安定したライティングで長時間撮影が可能となります。
今回ご紹介したポイントを意識するだけで、インタビュー動画のクオリティは大きく向上しますので、ぜひ実践いただければと思います。
ただし、社内で対応しきれない場合や、より高品質な動画を制作したい場合は、プロの映像クリエイターに依頼するのも一つの選択肢です。カメラに慣れていない方の撮影素材は編集でリカバリーする要素が増えてしまい、どうしても編集コストがかかってしまいます。
また、食材が良くがなければ美味しい料理は作れないのと同じように、撮影が良くてこそ、編集が生きます。撮影時に起きた不具合は編集ではどうにもできないことも多いです。
クオリティの高いインタビュー動画を作るためには、カメラ以外にも三脚やマイク、照明などの機材も準備いただく必要があります。撮影からご依頼いただくことでクオリティはもちろんのこと、工数を最適化することで予算についても柔軟に調整が可能です。
岐阜・名古屋でインタビュー動画の撮影・編集をお考えの方は、お気軽にご相談ください。話し手の魅力を最大限に引き出し、メッセージが伝わる映像制作をサポートいたします!